【アップルレザーとは？】アップルレザーを使用したヴィーガンレザーパンプス。自然に優しく耐久性もあるパンプスの特徴やお手入れ方法について

5 Oct, 2022

日本製・神戸うまれのサステナブルシューズ・パンプスブランドwfではりんごからうまれたアップルレザーをはじめとした環境配慮型の素材を使用しています

アップルレザーを使用したデッキシューズ風パンプス「明」

サステナブルな靴と言えば何を思い出しますか？
土に還る生分解性のあるスニーカー？
ペットボトルの再生糸を使用したニットパンプス？

色々な企業が、様々な工夫をして地球の未来を救おうとしています。

ペットボトルをリサイクルしたニット素材のサステナブルパンプスは、すでに世の中にたくさんあるので、wfではりんごからうまれたアップルレザーを始めとした素材と技術でここちよさとサステナビリティを追求する「見た目は普通のパンプスなのに実はサステナブル」なパンプスを作っています。

アップルレザーを始めとした、ニット素材ではないサステナブルなパンプスや靴を作っています

靴の中でも一番大きな面積を占めるアッパー材（甲材）には「アップルレザー」を使用しています。
「りんごから出来てる人工皮革なんです」というと、よく驚かれますが、実は世界ではすでにサステナブルな素材として色んな所で使用されています。

今日はアップルレザーとはなにか、特徴、劣化の速度、お手入れの方法など詳しく説明したいと思います。

《目次》

　・そもそもヴィーガンレザーとは？
　・アップルレザーってどうやって作られているの？
　・アップルレザーの特徴とは？
　・アップルレザーの耐久性は？
　・アップルレザーのお手入れや保管方法は？
　・青森や長野で作られている日本製アップルレザーとは？
　・まとめ
　

そもそもヴィーガンレザーとは？

アップルレザーをはじめとするヴィーガンレザー（エコレザー・フェイクレザー）とはどういうものを示すのかを説明します。

牛や豚などの動物性皮革ではない、合成皮革・人工皮革、いわゆるフェイクレザーのことをヴィーガンレザーやエコレザーと呼んでいます。
今や多くのメゾンブランドでも、SDGsの環境保護や動物愛護の観点から天然皮革から人工皮革へシフトしています。

合成皮革・人工皮革などのトップコートに使用されるウレタン樹脂は従来より有機溶剤※を使用した「溶剤系ポリウレタン樹脂」が主流ですが、人体や環境に対する安全性に懸念がもたれています。

※有機溶剤とは：水に溶けない物質を溶かすトルエン、ジメチルホルムアミドなどの溶剤のこと。主に石油系溶剤が使われています。

また、国際問題となっている「食品廃棄（フードロス）」を重要視し、問題解決の一助になればとの想いから植物原料を使用した素材開発も世界中で急ピッチで進められ、それにあわせ毒性の少ない水性ポリウレタン溶剤を合わせたものが主流となりつつなります。

まだまだ生産量は少なく、価格も高いため積極的に取り入れているアパレルメーカーはあまり見受けられないのが現状です。

アップルレザーの製造工程は？

wfのサステナブルシューズにも使用されている、廃棄される予定のリンゴをアップサイクルした「アップルレザー」について紹介します。

アップルレザーは、加工時に出た搾りかすや、成長を助けるための摘果した若いりんご、腐ったり形が悪かったりなどの理由で廃棄予定のりんごをアップサイクルすることで生まれたヴィーガンレザーです。

りんごは実に限らず、芯や種・木・ジュースまで余す事なくアップルレザー製造時に使用し、廃棄箇所が出ないのが特徴です。

それらを乾燥させ、細かく粉砕し、水性ポリウレタン溶剤と混ぜて基布に塗布をすることで作られます。

wfのサステナブルパンプスにも使用されているアップルレザーはりんごを乾燥させ、細かく粉砕し、水性ポリウレタン溶剤と混ぜて基布に塗布をすることで作られます。

粉状に粉砕されたりんごをベースに作られています

水性ポリウレタンは製造時の毒性が少なく、有害物質である「ジメチルホルムアミド」や大気中の光化学スモッグを引き起こす原因物質「VOC（揮発性有機化合物）」を含みません。

wfで使用しているアップルレザーは、バイオベース度66%のUSDA認証製品※（内33%はりんご成分・その他は木くずなど）であり、裏基布にもりんごをアップサイクルしたアップルファイバー(アップルファイバーとりんごの木くずや葉っぱを混ぜたもの)を使用しています。

※USDA認証とは：

サステナブルシューズwfで使用しているアップルレザーは、バイオベース度66%のUSDA認証製品であり、裏基布にもりんごをアップサイクルしたアップルファイバーとりんごの木くずや葉っぱを混ぜたもの)を使用しています。

wfで使用しているアップルレザーはUSDA認証製品です

アップルレザーができるまでを詳しく説明した動画がありましたので、ぜひご覧いただければと思います。

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アップルレザーの特徴とは？

wfのサステナブルシューズ・パンプスにも使用されているアップルレザーについて説明します

アップルレザーは、本革と遜色ない肌目細かなシボと、ソフトで軽くさらっとした手触り、甲材に使用した時に足にフィットする伸縮性が特徴のヴィーガンレザーです。

靴の甲材に使うと、まるでもう一枚の皮膚のように足に沿ってくれます。

柔らかでしなやかな質感のアップルレザー

一般的な人工皮革や天然皮革に比べ、軽いのも特徴です。

wfのパンプスは底材も古紙やコットンなどを使っているため、とても軽く空気感のある履き心地です。

また、伸縮性も高く、靴に使用すると足の複雑な動きや足の形に沿いやすいことも特徴のひとつです。

伸縮性の高いアップルレザーは足の複雑な形状や歩行時の動きに沿ってついてきてくれることも特徴のひとつです。

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アップルレザーの耐久性は？

りんごうまれの人工皮革・アップルレザーの耐久性について説明します

経年劣化を楽しむ天然皮革と違い、ヴィーガンレザーは合成樹脂を含んでいます。

表面にポリウレタン樹脂を塗布している一般的な人工皮革は加水分解（※）を起こしやすく、2〜5年ほどでひび割れや破れが出てくると言われます。

※加水分解とは：主に合皮などのポリウレタン素材やPVC（ポリ塩化ビニール）を使った製品に起こるもので、空気中の水分や日常で浴びるような量の紫外線などが原因となって、表面がべたついたりひび割れたりする現象のこと。

ポリウレタン樹脂を使用した人工皮革は使用年数とともに表面がべたべたしたりひび割れてくる加水分解という現象がおきます

加水分解した人工皮革の表面

アップルレザーには、健康、環境への配慮や法規制強化が進んでいる事から、石油に頼った有機溶剤を含まない「水性ポリウレタン樹脂」のみを使用しています。

環境に良い反面、水性は溶剤系に比べ、加水分解の速度が若干早まるといったデメリットがありましたが、アップルレザーは高いバイオベース度を維持しつつ、ジャングルテスト※の結果平均8年維持出来るようになっており、一般的な人工皮革より耐久性は高いといえます。

※ジャングルテストとは：人工的に湿度95%、室温70℃の空間中に皮革製品や素材を放置して劣化を促進させ、耐用年数や劣化状態を評価する劣化促進テストのこと。 1週間は一般家庭で使用されたときのほぼ1年分に相当するといわれており10週間の間に生地が劣化しなかったものが合格という基準になっています。

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アップルレザーのお手入れや保管方法は？

りんごうまれの人工皮革・アップルレザーのお手入れや保管方法について説明します

アップルレザーは通常の人工皮革と同じお手入れ方法で大丈夫です。

人工皮革特有の経年劣化は避けられないものの、正しくお手入れ・保管、または使う時の注意事項を守れば長持ちします。

■お手入れの仕方

1.柔らかい布に水を含ませて軽くふきながら汚れを落としていきます。

2.軽く乾拭きし、人工皮革にはレザー用靴クリーナーを柔らかい布につけ、薄く伸ばしながら汚れを拭き取ります。

3.風通しの良い日陰で乾かします。

■保管の仕方

1.人工皮革は高温多湿に弱いため、通気性のいい場所での保管してください。それが難しい場合は定期的に日陰干しするか、除湿剤や新聞紙を丸めたものなどを靴の中に入れてください。

2.密着させて保管しないようにしましょう。高温多湿の日本では、人工皮革の表面が柔らかくなり、素材同士がくっついてしまう恐れがあります。

■使用上の注意

1.着用後は十分陰干ししてから靴箱にしまうようにしましょう。

2.雨の日に着用した時などは、必ず乾いた布で水分をふき取りましょう。

3.ハンドクリームが付いた手などで靴を触ったときは、固く絞った布でふき取りましょう。

4.アルコール消毒液がかかったときは、固く絞った布でふき取りましょう。

青森や長野で作られている日本製アップルレザーとは？

wfのサステナブルパンプスは、現在10以上あるパーツのうち約半分を輸入パーツを使用して作られています。

日本のサステナブル素材開発は、環境問題への意識の高い海外諸国に比べ5年程度遅れていると言われており、まだまだ国内での調達は難しいからです。

ですが、国内でも多数の企業が急ピッチで開発に取り組んでいるため、使えそうなパーツを見つけ次第日本製に変更していくことを目標にしています。

りんごから生まれたヴィーガンレザーを国内産にした方が良い主な理由としては

国内りんごのフードロスをアップサイクル出来る
国内工場にて製造された国産製品なので、輸入する製品よりCO2排出量を抑えられる
新素材製造に関わる地域の活性化

などがあげられます。

アップルレザーはすでに日本国内で製品化の見込みが立っているものが青森県と長野県に2社あります。
どちらも有名なりんごの産地ですね！

■青森県のスタートアップ企業「appcycle（アップサイクル）株式会社」（代表：重野由佳・藤巻圭）

青森県のスタートアップ企業・appcycle株式会社は青森県産りんごをつかったアップルレザー「RINGO-TEX（リンゴテックス）」を開発・製造しています。

青森県のappcycle株式会社の国産ヴィーガンレザー『RINGO-TEX（リンゴテックス）』が、 ANA(全日本空輸株式会社) より2022年10月5日より運航する、サステナビリティをテーマにしたANAの特別塗装機「ANA Green Jet」のプレミアムエコノミー（国際線）およびプレミアムクラス（国内線）のヘッドレストカバーとして採用されることになりました。

「ANA Future Promise」の取り組みの一環として、2022年10月5日よりサステナブルに配慮した特別機を就航します。機内食容器の一部や機用品の包材としてサステナブルな素材を使用しているほか、機内食の残渣を使った堆肥で育てた食材を使った機内食の提供などを進めています。シートのヘッドレストカバーには青森県産りんごを使用したヴィーガンレザー（人工皮革）が使用されています。

2022年10月5日より運航する、サステナビリティをテーマにした「ANA Green Jet」

青森のappcycle株式会社の国産りんご廃棄物を使用したヴィーガンレザー（人工皮革）がANA Green Jetのシートのヘッドレストとして使用されることになりました。

「ANA Green Jet」には国内産りんごから生まれた人工皮革でつくられたヘッドレストが使用されています。

量産前の試作品（プロトタイプ）が導入されていますが、この段階までくると商品化まであと少し！

期待が高まりますね！

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

NHK NEWS WEB:青森のりんご搾りかす材料の人工革座席に採用 ANA旅客機公開

■長野県のスタートアップ企業「株式会社SORENA（ソレナ）」（代表：伊藤優里）

長野県のスタートアップ企業のつくるアップルレザー・りんごレザーについて説明します

長野県・飯縄町を拠点に活動するスタートアップ企業「株式会社SORENA（ソレナ）」

長野県飯綱町は日本有数のりんご産地ですが、年々過疎化が進む中でりんごの付加価値を上げるためにシードルの製造を進めています。この製造過程で生じるりんごの搾りかすを「りんごレザー®」として、共和レザー株式会社と共同で開発中し、現在は、11月に開始するテスト販売用の合皮生地サンプルを待っている段階に進んでいます。

長野のスタートアップ企業がつくるアップルレザー・りんごレザー®は飯綱町のシードル工場1200本製造に発生する約300㎏のりんごのしぼりかすからりんごレザー®を使ったトートバッグが100個作れるとしています。